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2007/01/13

星空に浮かぶ満月と静かなコートに落ちるバスケットボール。(その2)

※この記事を読む前に、
 星空に浮かぶ満月と静かなコートに落ちるバスケットボール。(その1) を読むと。
 何となく、話の流れが理解できるかと思います。


他人の持ち物に、いくら「優希」と名前を書いてもソレは僕の持ち物にならないように。
僕の人生もまた。誰のものにもならないのである。

とにかく動き出そう。そう思って立ち上がった体は。
水を大量に吸ってしまったバスタオル如く重かった。
もう、いっか。
寝たきりの老人のように、僕は布団に寝転んだ。
寝転びながら昔の事を思い出した。


何時誰といったのかわからないが。僕はあるお祭りに行った。
小さい頃。おそらく小学生の時だったと思うがお祭りに行った。

道の両側にはぎっしりと屋台が立ち並び。
その道を大勢の人間が通っていった。
僕はこの場所に一人だった。
歩みを止めてしまえば後ろから来た人に押されてこけてしまう。
僕は人の流れに合わせて歩いた。
しかし、その流れに会わせて歩いても。
いくら歩いても、人の波からは抜け出せなかった。

いつしか右手に持っていた綿飴はなくなり、
帯に挟んでいた団扇もなくなっていた。
一瞬にして2つのモノを無くしてしまった僕はその場に座り込む。

僕の周りには少しだけの空間ができ、
人々は僕を避けるように歩いていった。
まるで。僕のいる空間だけが別世界のように。

少し時間が経つと。人ごみの中から1つの手が現れた。
その手は僕の左腕を掴み僕を人ごみの中から出してくれた。
誰だったんだろう。その手は。
おそらく。親父か兄だと思うが。


それから。僕が迷宮・迷路に迷うたび。
誰かの手が助けてくれた。

しかし今。僕を助けてくれる手はあるか?
それ以前に。その手があったとしても僕はこの迷路から抜け出せるのか?


僕はこの迷路から抜け出せるのか?

僕はこの迷路から抜け出したいのか?


この迷路から抜け出したら、また光の溢れる世界へ帰らねばならない。
光は容赦なく僕を照らし、万人の目に入る。

この世界は、いじめを苦に自殺する子ども達が絶えない。
この世界は、力あるものが生き残り、力ないものは路頭に迷う。
この世界は、貧困に苦しんでいる国があろうとも、豊かな国は食物を棄てる。
この世界は、…金が全てだ。

この世界に帰りたい。
僕はソレを本当に望んでいるのか。

裏表のある。この世界に…。
僕は何を求めているんだ。

何を求めているんだ。


窓を開けると、雪が降っていた。
今日は…綺麗な月を拝む事はできそうにない。

僕はタバコに火を付け、目の前の砂利の敷き詰められた地を見ていた。
部屋の中からのヒカリで、僕は1本の草を見つけた。

雪が降りしきる中。
砂利が敷き詰められている地で。
そして何より、この、汚く裏表のある世界で。

その草は力強く地に根をはり。
すずめの涙ほどの栄養分を吸い取って生きていた。
タバコを灰皿に押し付け火を消して、僕は玄関へ歩いた。
シューズBOXの横に置いていた傘を取り出し、
僕はその草を覆うように傘をさして置いた。


「なぁ。どうしてお前はこんな世界で。それも1人で生きているんだ?」


応えが返ってくるはずもなかった。
しかし、そのおそらく頑張っているであろう姿は、
僕に何かを訴えているようにも思えた。


数日後。
この数日間は曇り空で月を見ることができなかった。
僕は窓を開けると空よりも先に地、あの草を見るようになっていた。
しかし、その日。いつもの場所に、草はいなかった。
ずっとさしていた傘もたたまれて、室外機の横に立てかけられていた。

僕は恨んだ。
この世界を恨んだ。
草一本生きていけない世界。
そんなものに何を望もうか。

僕は。この世界には帰りたくない。そう思った。



 
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